学会誌:「Hypertension Research」
Hypertension Research シュプリンガー・ネイチャー(Springer Nature) 日本高血圧学会 編 |
内容紹介
日本高血圧学会の学会誌Hypertension Researchは、高血圧領域の臨床および基礎の原著研究論文を中心とした欧文誌で、レビュー論文やEditorial(論説)も掲載しています。
シュプリンガー・ネイチャー(Springer Nature)より出版されている国際学術誌で、2022年のImpact Factorは5.4と高血圧専門誌の中で上位に位置付けされています。
また、年間最優秀論文1件、優秀論文2件に対してHypertension Research Awardを授与し、研究の奨励をはかっています。
オンライン投稿
新規論文・修正論文は、全てオンラインで受付けています。
投稿規程をご確認の上、オンライン投稿のサイトより投稿して下さい。
電子版の閲覧
会員の方
日本高血圧学会の会員は、Springer Natureのウェブサイト“nature.com”に収載されているHypertension Researchの電子版フルコンテンツの閲覧が可能です。
本サービスは 会員専用サイトよりご利用下さい。
会員以外の方
Springer Nature上のHypertension Researchホームページにて、電子版目次、論文アブストラクトなどにアクセスできます。
論文の閲覧は 定期購読をご利用下さい。
日本高血圧学会の会員には、電子版を無料で閲覧いただけます。
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ご購読
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転載許諾申請<2023年1月1日より>
Hypertension Researchに掲載された論文の一部(図表など)を使用する場合は、転載許諾申請が必要です。掲載年によって転載許諾申請先が異なりますのでご注意ください。
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2005年(Vol. 28, No.1)以降掲載論文(SpringerNature)
Copyright Clearance Center (CCC) が運営するオンラインのプラットフォームであるRightsLinkを利用し、ウェブ上で申請の受け付けを行います。著者の先生はご自分の著作物の学術利用に限り、図表をご利用いただけます(申請不要)。
著者以外の方は、転載を希望する論文のページを開き、画面右'Rights and Permission'をクリックして、表示される画面に必要事項を記入の上送信して下さい。
詳細はこちらをご確認ください。
https://www.nature.com/nature-portfolio/reprints-and-permissions/permissions-requests#get-permission-to-reuse-springer-nature-content-online
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2004年(Vol.27, No.12)までの掲載論文 (J-STAGE)
「転載許諾申請書」に記入の上、「転載使用先原稿(校正刷など)」とともに、日本高血圧学会事務局 転載許諾係(permissionjpnsh.jp)にお送り下さい。 本誌掲載済の論文に限り転載許諾の申請が可能です。
使用目的は、学術目的と営利目的に分けられます。
営利目的の場合、転載許諾料は下記の通りとなりますが、審査の結果非営利目的と判断された場合は無料となります。
※申請から手続き完了まで2~3週間程度を要する場合がありますので、必ず余裕を持ってご申請下さい。
営利目的の使用(図表1点あたり)
1) 紙・電子媒体(出版物、パンフレット、CD-ROM、DVDなど)
2) 上映・公開・配信など
① スライド・動画
使用期間1年間 ¥95,000+消費税
無期限 ¥120,000+消費税
② Web掲載
閲覧対象限定: 1年間 ¥200,000+消費税
無期限 ¥600,000+消費税
一般公開: 1年間 ¥300,000+消費税
無期限 ¥900,000+消費税
③ アプリケーション・ソフトウェア
¥500,000+消費税(無期限)
非営利目的の使用(学術目的)
テキストの抜粋、図表の転載 無料
[転載許諾申請書]
編集に関するお問合せ
日本高血圧学会 Hypertension Research編集室
- hr-officejpnsh.jp
- 03-6801-9786
- 03-6801-9787
第15回 Hypertension Research Award 受賞者のご紹介
10月13日に第15回 Hypertension Research Award最優秀賞、優秀賞の発表が行われました。
一次審査では、全35名の編集委員および国内Associate Editorが、2023年4月号から2024年3月号までに掲載された全178編を対象に、オリジナリティやインパクトを考慮して基礎・臨床/疫学の分野別に合計14編を選定しました。
二次審査では、6名以上の推薦があった14論文を対象に、新規性とデータ強固性を重視した5点満点の評価を行い、平均点の高い上位3名を受賞候補とし最終審査を行いました。
3名の受賞候補者について理事会で最終承認を得て受賞者を決定しました。
最優秀賞
荻野 聡之先生 (杏林大学)
Roles of the mechanosensitive ion channel Piezo1 in the renal podocyte injury of experimental hypertensive nephropathy Hypertension Research (2024) 47:747–759.
- このたびは、第15回Hypertension Research Award最優秀賞に選出していただき、誠にありがとうございます。まだまだ未熟な研究者である私が、このような名誉ある賞を受賞できることは、身に余る光栄であり、大変嬉しく思っております。臨床と研究をつなぐPhysician Scientistは、私が目指す理想の姿ですが、簡単になれるものではありません。私は10年以上、救急医療に携わる中で、次第に基礎研究への関心を抱くようになりました。しかしながら、新型コロナウイルスの影響で、留学が困難な状況が続いておりました。そのような中、同学の肉眼解剖学教室において基礎研究の指導を受ける機会に恵まれ、長瀬教授をはじめとする教室の皆様、そして研究中に臨床の現場を支えてくださった方々に、心より感謝申し上げます。
私たちは、2010年に発見され、2021年にノーベル生理学・医学賞の受賞対象となったメカノセンサーであるPiezo1、Piezo2の腎臓での役割について研究を行ってきました。これまで、ポドサイト障害には機械的な力が関与していることが示唆されていましたが、Piezo1の役割については明らかになっていませんでした。本研究では、高血圧性腎硬化症マウスや培養ポドサイトを用いて、Piezo1の発現とそのシグナルカスケードについて検討を行いました。その結果、糸球体高血圧モデルにおいてPiezo1の発現増加、Rac1活性化、ポドサイト障害関連遺伝子であるPai1、Sgk1、Mcp1の発現誘導が確認されました。さらに、これらの遺伝子発現は、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬の投与により血圧を正常化することで改善されました。また培養ポドサイトを用いて、伸展刺激がPiezo1によって感知されると、Rac1活性化を介して前述の遺伝子発現が誘導されることを実証しました。
今後は、さらに多様な腎障害モデルを用いてPiezo蛋白の役割を解明するとともに、Physician Scientistとして視野を広げ、臨床で生じる様々な疑問に対しても研究を進めていく所存です。引き続き、ご指導ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
優秀賞
溝口 蓮先生 (金沢大学)
Impact of gut microbiome on the renin-aldosterone system: Shika-machi Super Preventive Health Examination results. Hypertension Research (2024) 46:2280–2292.
- この度は、私たちの論文を第15回Hypertension Research Award優秀賞にご選出いただき、誠にありがとうございます。論文作成にあたり、ご指導とご支援を賜りました関係者の皆様に心より御礼申し上げます。並びに、査読者の先生方やご審査いただきました先生方に深く感謝申し上げます。
この研究は、私が学部生の頃に初めて着手したものでした。当時、健康維持に対する腸内細菌叢の役割に興味を持っていました。そこで、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)との関連性に着目し、両者の関係性を明らかにするため、機械学習手法を用いた検討を行いました。本研究では、志賀町スーパー予防医学検診のデータを基に、腸内細菌叢の16SrRNA解析とRAASに関連する臨床データを組み合わせて評価し、Blautia、Bacteroides、Akkermansia、Bifidobacteriumなどの腸内細菌属がRAASと関連していることを初めて体系的に明らかにしました。特に、因果探索解析により、Blautiaが収縮期血圧を介してPACに影響を及ぼしている可能性が示唆され、新たな視点から腸内細菌叢とRAASの関係性が示されました。これらの結果は、高血圧の新たな予防・治療戦略として腸内細菌叢への介入が有望であることを示唆しています。今後は、腸内細菌叢を標的とした介入研究やプロバイオティクス・プレバイオティクスを活用した新たな治療法の開発に取り組んでいきたいと考えております。また、アジアにおける地域や民族間での腸内細菌叢の多様性を考慮した個別化医療の展開にも尽力していく所存です。
最後に、本研究を一からご指導いただきました唐島成宙先生、佐藤賢二先生に心より感謝申し上げます。未熟な私に対して、先生方は学問の面白さを教えてくださり、研究の道に導いてくださいました。お二方のご指導とご助言があってこそ、本研究を完成させることができました。今後ともご指導ご鞭撻のほど、何卒宜しくお願い申し上げます。/li>
田中 宏典先生 (東北大学病院)
Secondhand smoke exposure is associated with the risk of hypertensive disorders of pregnancy: the Japan Environment and Children's Study. Hypertension Research (2022) 46: 834–844.
- この度は我々の論文を栄誉ある第15回Hypertension Research Award優秀賞にご選出いただき誠にありがとうございました。論文作成にあたり、ご指導、ご支援いただいた先生方に心より御礼申し上げます。また査読者の先生方、ご審査いただきました先生方にも深く感謝申し上げます。
妊娠中の喫煙は、早産や低出生体重などを含む周産期予後を悪化させる因子として知られおり、我々も以前、妊娠高血圧症候群のリスクとなることを明らかにしました。また、妊娠中の受動喫煙については、出生児の精神運動発達に悪影響を及ぼしたり、早産と関連があるという報告があります。受動喫煙と妊娠高血圧症候群(HDP)との関連については、海外からの報告はありますが、一定の見解は得られておらず、また日本人を対象とした研究も行われれていませんでした。
そこで我々は日本全国の妊婦を対象とした、大規模前向きコホート研究であるエコチル調査のデータを用いて、受動喫煙とHDPとの関連について統計学的に検討を行いました。1週間あたりに暴露する頻度(ほとんどない、1−3日/週、4−7/週日)、1日あたりの暴露時間(1時間未満/日、1−2時間/日、2時間以上/日)について分類し、それぞれ修正ポアソン回帰分析を行ったところ、対照群と比べてHDP発症の相対リスクは4−7日/週の群で1.18(95% CI: 1.02-1.36)、2時間以上/日の群で1.27(95% CI: 0.96-1.67)でした。また、人口寄与割合(PAF)についても検討したところ、妊娠中の喫煙よりも受動喫煙のほうがより影響が大きいという結果となりました。
現在は研究から離れて臨床診療を行っていますが、この結果を患者へ還元できるよう務めるとともに、この発表が多くの方の目に留まることによって、妊婦の受動喫煙の予防につながることを願っています。
受賞されました3名の先生方には謹んでお喜び申し上げるとともに、今後ますますのご活躍をお祈り申し上げます。
新型コロナウイルス感染症関連論文がオンライン出版されました。
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以下のリンクから論文のリストを公開しております。(PDF形式)
新型コロナウイルス感染症関連論文(全文無料公開)