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学会概要

理事長ご挨拶

理事長平成28年(2016年)10月より、特定非営利活動法人日本高血圧学会の理事長を拝命いたしました。身にあまる重責ではありますが、これまで本学会が築き上げてきた功績を受け継ぎ、本学会活動の更なる発展と充実のために、専心努力する所存です。学会会員の皆様からの、一層のご指導・ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

日本高血圧学会は昭和53年(1978年)に創設され、現在までの約40年間、多くの先達の英断、努力と創意工夫により発展してきました。しかし、社会の急激な変化に伴い、ここ数年学会運営や臨床研究に関して多くの問題点が明らかになり、梅村敏前理事長のもとで、様々な改革や取り組みが行われました。その重要なポイントとして、(1)透明性の確保、(2)患者さんの立場に立った医療を実現し、専門家集団として社会からの信頼を得ること、(3)高いレベルの高血圧研究、があげられており、確実に実績が上がってきております。上記3つの事項を基盤とし、さらに、若手育成・国際性・社会貢献を三本柱として活動を展開したいと考えております。

我が国の高血圧患者は4,300万人にものぼり、最も頻度の高い疾患です。我が国の死因に寄与する因子として、高血圧は喫煙に次ぐ重大なリスク因子となっています。脳卒中などの心血管疾患による認知症や後遺症による要介護者は増加の一途をたどっており、我が国の福利厚生や経済にとっても大きな問題です。しかしながら、現状では高血圧患者の50%しか診療を受けておらず、診療を受けている患者の50%しか適切な降圧目標に達しておりません。このような現状に対応するためには、日本高血圧協会との連携をさらに深めると同時に、医師や研究者の間だけでなく、保健師、看護師、薬剤師、管理栄養士、臨床検査技師などコメディカルとの連携をさらに深め、多角的なアプローチを取る必要があると考えられます。その一つの先進的モデルとして日本高血圧学会と日本循環器病予防学会が協同して、昨年発足させた「高血圧・循環器病予防療養指導士」認定制度があります。この制度の定着、普及を推進し、本邦における高血圧診療のレベルアップにつながることを期待したいと思います。それと同時に基礎研究による高血圧の病態生理の詳細な解明、新たな診断や治療薬・治療法の原理の探究研究、基礎研究の成果を人で検証する臨床試験の更なる推進は不可欠であります。また、疫学研究、日常臨床における治療効率の改善、そして、予防等の全てが重要となります。本学会がこれらの課題を遅滞なく推進していくために、下記に示す事項を学会活動の基本方針としたいと考えております。

1.伝統の継承と革新:

日本高血圧学会は、「高血圧をテーマに研究を推進し、以て高血圧症の診断・予防・治療面の進歩を図る」という趣意のもとに、昭和53年(1978年)4月に会員約300名で設立されました。以後、本学会の多くの先人達が、それぞれの分野の研究で世界をリードしてきました。平成5年1月に欧文学会誌「Hypertension Research」を創刊、国内欧文学会誌として高い評価を受け、世界各国の研究から多くの論文が投稿されるようになり、インパクトファクターも大きく増えております。平成12年に日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン2000が発行され、以後5年毎に全面改訂され、本邦で最も多く読まれているガイドラインの一つとして定着しています。これらの事業については今後もさらなる充実をはかり、高いレベルの研究成果と臨床的エビデンスを世界に発信し続け、国民にそれを還元して患者さんの立場に立った医療を実現し、専門家集団として社会からの信頼を得る存在になるようにいたします。「高血圧・循環器病予防療養指導士」制度については、全国のメディカル・コメディカルスタッフに広くその存在を認知して頂き、その資格を目指して頂くような制度(ガイドブックの発刊、eラーニングの確立など)をさらに充実いたします。

本学会が関与する高血圧に関する「臨床研究」の在り方に関しては、梅村前理事長の元に、日本学術会議の「科学者の行動規範」にもとづき、学会員が守るべき「倫理行動規範」を制定しました。また、理事等役員の選考規程の公選制などの見直しを断行し、学会外部委員を含めた監事による学会運営に対する監査の体制も確立いたしました。今後も、より透明な学会運営を目指し、各小委員会などの組織再編や、情報発信の迅速化のための広報活動の充実を図りたいと思います。

2.若手活性化と国際化の推進:

現在、本学会の会員数は4800名にまで達しています。今後も本学会が発展を維持するために、これからの医学研究・医療を担う若い世代の方々が本学会の趣旨に賛同し、生き生きと活躍できることを強く後押しする仕組みを学会として制定したいと思っております。若手研究者同志または、若手とシニア・エスタブリッシュされた研究者との効率的で密度の濃い交流により、知識・経験の伝承と研究により得られる知的喜びと満足を実感できる場を学会内に設定したいと考えます。また、2022年には京都において、国際高血圧学会(ISH:International Society of Hypertension)総会が開催されることが決定されておりますので、本学会の更なる国際化の推進も不可欠と考えます。ISH、AHA (American Heart Association)、APSH (Asian Pacific Society of Hypertension)などの海外学会との連携も重要であり、具体的にはISH New Investigator Networkでの研究者交流や、AHA高血圧カウンシルのEarly Career Council Awards(特にNew Investigator Awards for Japanese Fellows)への応募の推奨や新たなAwardの提案などを行い、交流を活発化させたいと考えております。これから学会で行う新たな取り組みには会員の皆様には自発的・積極的に参加して頂くことを期待します。我々は本学会員であることに誇りを持って、会員同志がお互いを尊敬し、刺激・励まし合いながら向上し、楽しく、そして明るく社会貢献する気風を育て上げ、継承していきたいと考えます。

3.社会貢献:

高血圧は様々な他の生活習慣病を合併することから、高血圧の問題は医学だけの問題ではなく、社会全体の問題であります。教育機関や行政、企業そして報道機関も巻き込んで、健康の大切さを国民個々人が自覚でき、心身ともに健康を維持することを社会全体で支える仕組みが必要であろうと考えます。本学会の減塩委員会ではこれまで、減塩食品の認証・アワードの制定などの取り組みを精力的に行ってきており、本邦における食塩制限のために、多角的アプローチ(1.Political and social approach, 2.Population approach, 3.Individual approach, 4.Publicity activities)の戦略を掲げておりますが、特にPolitical and social approachによる政治、自治体、産業界への働きかけを一層加速させたいと考えます。また、減塩の啓蒙に関しては減塩委員会、広報・情報委員会の活動の更なる効率化をはかり、国民の皆様に深く浸透するように継続的な活動を展開したいと考えます。

最後に、日本高血圧学会は高血圧を克服するために、社会からの幅広い支援を必要としております。多くの方々と協力して取り組んで参りたいと思いますので、皆様の御理解、御協力、御指導の程、何卒宜しくお願い申しあげます。

特定非営利活動法人 日本高血圧学会 理事長

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